スキル不足を解消する
AIビジネス活用講座
AIへの頼み方が変わる90分
プロンプトの上手い下手の話は、今日はしません。「思ったのと違う答えが返ってくる」の原因を1つに絞って、その場で手を動かし、自分専用の1枚を作って持ち帰る回です。
つかみいま、皆さんに起きていること
この90分の要点
- AIの答えがズレるのは、頼み方が下手だからではありません。自分が何を欲しいのか、まだ言葉になっていないから起きています。
- 直し方はひとつだけ。形容詞を、材料に置き換える——「丁寧に」ではなく「相手・場面・ゴール・自分の言い回し」を渡します。
- 全部を頑張る必要はありません。力を入れる場所と、抜く場所を分けるのが、上手い人がやっていることです。

事前アンケートには13名の方がお答えくださいました。全員がAIを使ったことのある方で、詰まっているところが見事に重なっています。
| 皆さんの声 | 実際に起きていること |
|---|---|
| どう頼めばいいか分からない | 頼み方の作法ではなく、渡す材料が決まっていない |
| ありきたりな答えになる | 足りない部分を、AIが世の中の平均値で埋めている |
| 自分っぽくない文章になる | 自分の言い回しを一度も渡していない |
| 合っているか不安 | AIが間違うからではなく、自分の中に合格の条件がない |
| 毎回イチから説明していて疲れる | 1回書いた説明を置いておく場所を持っていない |
| 思ったのと違う答えが出る | 自分の伝えたいことが、AIが受け取れる言葉になっていない |
自分が伝えたいこと=AIが分かる言葉、とは限りません。AIはあなたの事情を知りませんし、比べるお手本も持っていません。そして自分の言葉は、自分で思っているよりずっと抽象的です。だから「伝わる言葉に置き換える」という作業が、どうしても要ります。
体験同じ仕事を、2通りの頼み方で
まず、普段どおりの「ちゃんとした」頼み方でお願いしてみます。丁寧に書いているのに60点になる——この感覚を、その場で一緒に確認します。
形容詞だけを渡す
納期遅延のお詫びメールを書いてください。 相手は長年お付き合いのある取引先です。 丁寧に、でも堅すぎず、 誠意が伝わるようにお願いします。
- 謝りすぎて、少し卑屈になる
- 事情の説明がぼんやりしている
- 締めが一般論で終わる
- 自分の言い回しではない
材料を4つ渡す
納期が遅れたお詫びメールを書いてください。 - 相手: 3年お付き合いのあるA社の田中さま。 細かい進行報告を好む方 - 場面: 印刷データの最終確認に不備があり、 納品が3営業日遅れる - ゴール: 怒らせないことより 「正直に共有してくれる人」と思ってもらう - 私の言い回し: 「お待たせしてしまいごめんなさい」 「正直にお伝えすると」
- 自分が書いた下書きに近づく
- 直す量が、はっきり減る
渡す材料を変えると、返ってくる量そのものも変わります。次の数字は、同じAIに指示書だけを差し替えて同じ仕事を頼んだときの実測です(LP制作での実験ですが、資料づくりでも起きることは同じです)。
AIは材料が足りないと、書けない部分を黙って削るか、世の中の平均値で埋めます。腕は同じで、変えたのは材料だけです。
種明かしAIは、優秀だけど何も知らない新人

この見立てが分かると、3つのことが同時にほどけます
- 「ありきたり」の正体——引き継ぎ書がないので、平均値で埋めるしかない状態でした。
- 「うまく説明できない」の正体——AIに説明できないことは、自分もまだ言葉にできていないことです。頼む工程は、頭の中を外に出す工程でもあります。
- 「不安」の正体——AIが間違うからではなく、自分の中に合格の条件がまだないからです。
うまい聞き方を覚えてから使い始める必要はありません。「分からない」ということ自体を渡せば進みます。
私はいま「〇〇をしたい」と考えているのですが、 あなたにどう指示を出せばいいか分かりません。 一緒に整理してもらえますか。
今日いちばんのお持ち帰り力の入れどころの地図

| 渡す(AIは知らない) | 引き出す(AIが得意) |
|---|---|
| あなたとクライアントの固有の情報 好み・これまでの経緯・NG・言い回し |
業界の定石やフレーム 資料の型・ヒアリングの定番項目 |
「世の中の平均値」は、定石を引き出すときだけは味方になります。
実践調べる → 整理する → 資料にする

渡すのは「範囲」と「出典」
調べものは、どこまで調べれば終わりかを先に決めてから頼みます。出典をつけてもらうと、「合っているか不安で全部調べ直す」が「出典だけ自分で確認する」に変わります。
クライアント(オンラインヨガ教室)への提案用に、 オンラインレッスンの予約システムを3つ比較して調べてください。 - 何が分かれば終わり: 月額費用/日本語対応/予約とZoom連携の有無 - 範囲: 日本で使えるもの・ここ1年以内の情報 - 必ず出典(公式サイトのURL)をつけてください - 出したい形: 比較表
渡すのは「分け方の軸」
「整理して」だけでは、AIは並べ替えることしかできません。整理するとは、分け方を決めることです。軸を変えると、同じ材料でも見え方が変わります。
この調査結果を 「すぐ決められること/クライアントに確認が要ること」 の2つに分けてください。 (別の軸の例) この10件のメモを 「費用の話/機能の話/導入の手間の話」に仕分けてください。
たたき台を作らせて、自分が直す
いきなり完成形を頼まず、構成(もくじ)から作らせます。直すときは「全部やり直し」ではなく差分で——「2枚目だけ、もっと短く」。
この内容で提案資料を作ります。まず構成(もくじ)だけ出してください。 - 誰が見るか: クライアントの代表の方(AIには詳しくない) - 見る時間: 5分 - ゴール: 次の打ち合わせで話す論点が3つに絞れている まだ本文は書かないでください。
見た目を整えるのは、CanvaやPowerPointなど別の道具の役目になります。AIでスライドの見た目まで仕上がるわけではない、というところは正直にお伝えしておきます。
だから背景情報は、クライアントごとに分けて持っておきます。型を作る意識で仕事をすると、案件ごとに変わる「変数」が見えてきます。変数が見えると、ヒアリングで何を聞くべきかが先に分かるようになります。
当日の進み方90分の流れ
- 0:00ごあいさつと、いま困っていることごあいさつチャットで一言いただきながら、今日の地図をお見せします
- 0:10皆さんの回答から始めます解説事前アンケートの答え合わせ。詰まりの4つを1つの原因で説明します
- 0:202通りの頼み方をその場でデモ同じ仕事を、形容詞だけ/材料4つ、の2回頼みます
- 0:28小ワーク:自分のお題で4つ書くワーク5分。手が止まったところが、次の話の入口になります
- 0:33種明かしと、力の入れどころ解説今日の要約1枚。以降はここに戻りながら進みます
- 0:48調べる → 整理する → 資料にするデモ+ワーク事前アンケートを題材に、実物で1本通します
- 1:04AIへの引き継ぎ書をつくるワーク10分。今日のお土産をその場で完成させます
- 1:16最後に、実例と質疑ご案内AIがどう仕事につながったかを、順番の話としてお伝えします
ワーク・10分自分の「AIへの引き継ぎ書」を作ります
今日いちばん手を動かしていただくところです。1回書いておけば、次からはこれを貼るだけになります。「毎回イチから説明していて疲れる」が、ここで消えます。
例:オンライン秘書。美容サロン2社と士業1社の事務・SNS運用を代行
例:専門用語を使わない/結論が最初/読むのに1分かからない
これから仕事を頼みます。まず私のことを覚えてください。 【私の仕事】 【私の言い回し】 【合格の条件】 1. 2. 3. 【よく使うお題】 1. 2. 3. この内容をふまえて答えてください。
| お使いのプラン | 作った1枚の置き場所 |
|---|---|
| 無料プラン | Googleドキュメントなどに保存して、毎回コピーして貼ります |
| 有料プラン | プロジェクト機能やメモリに置いておくと、毎回貼らなくてよくなります |
| その先 | 自分専用AI(GPTs)という世界もあります。今日はご紹介だけ |
冒頭で「そのままでは送れなかった」お詫びメールに、いま作った引き継ぎ書を貼って、もう一度頼みます。
正直なところ気をつけていただきたいこと
| やること | 無料でできる範囲 |
|---|---|
| 何を聞くかを設計する | 無料でできます |
| アンケートフォームを作る | 無料でできます(Googleフォーム) |
| 集まった回答を分析する | 無料でできます |
| 資料のファイルとして書き出す | ここから先は、有料の道具や別のソフトが要ります |
AIが出した数字・日付・固有名詞は、送る前に必ずご自身の目で確認してください。出典をつけてもらうのは、この確認を短くするためです。
また、クライアントの個人情報や、まだ公開されていない情報の扱いは、ご契約や社内のルールを優先してください。
最後にAIは、増幅装置です

仕事は、人の困りごとを解決する手段です。ということは、出会える人の範囲は、自分が扱える「困りごとの種類」で決まります。AIの話は、そこがとても広いのだと思います。業種も立場も関係なく、みんなが困っているからです。
ただし、増幅装置は増幅するものがないと何も起きません。順番はこうなります。
おすすめしたい順番
- 自分がもう持っているものを、棚卸しする——これまでの仕事で身についたこと、よく頼まれること、褒められたこと。
- その中の得意を、人に渡せる形まで磨く——「渡せる形になっている」が合格ラインです。
- AIは、それを届けるための増幅装置として使う——AIが目的ではなく、間口として。
これからは、自分の経験を言葉にしておくことが効いてきます。
- AIと掛け合わせても、世界のどこにもない材料は、あなたの中にしかありません。
- 今日つくった1枚は、その言葉にしておく作業の、いちばん小さな第一歩です。
- うまく頼めるようになることより、自分が何を欲しいのか分かるようになることのほうが、ずっと長く効きます。
補足出典と、資料の扱いについて
- 本資料の数字(文章量4.5倍・アンケート回答13名)は、講師自身の実測値です。効果を保証するものではありません。
- 講座内でご紹介する制作事例は、掲載の承諾をいただいたもののみ扱います。
- AIサービスの機能・プラン内容は変更されることがあります。当日は、その時点の画面でご確認ください。
- 本資料はご参加の皆さま向けです。検索エンジンには載せていません(noindex)。